
2016.01.11
ブログ
魚健ブログ 若旦那劇場 第13話
ようやく念願の地魚を口にする事ができ、その旨さにあらためて「山口県北浦」の魚を加工したい
という思いに満ち溢れて帰宅した若旦那だが、この頃若旦那の心の中には、「山口県旨い魚情報」と
並行するようにある一つの思いがあった。それは山田家の歴史からすれば考えられない事だったかもしれない。
高校卒業と同時に水産加工の世界にとびこみ、親父や伯父さんの指導のもと兄貴と共に加工に
打ち込み、それなりの技術を身につけることが出来た。そして弟もまた、大阪の百貨店内に出店した
自前の店で販売の仕事に就き、文字通り「家族一丸」となってやってきた。
若旦那自身も10数年加工に携わり工場長となり何の不自由もない生活を送っていた。しかし何か忘れているような、
何かしなくてはならないような・・
そして本来の自分の夢である板前としてお客様に自分の作った物を食べてもらいたい、いやこの頃は板前としてではなく、
「何か自分自身が思い通りに作れる、自分の想いが100%反映される、そんな物作りがしたい」
そう思うようになっていた。そう「独立」である。その想いは日に日に増していった。
しかし「独立」と言っても自分が出来ることは魚の加工だけで、あとは趣味である野菜作りかパンを焼くことだった。
若旦那は想い描いた。「有機野菜を作り、天然酵母のパンを焼いてそして自然食品を並べるお店を開こう」。
しかし近くにはいつもお世話になる自然食品店があった。また若旦那の作った虫食いだらけの野菜や素人が焼いた
パンなど誰が買ってくれようか、ましてや生計を立てるなど・・・現実的ではなかった。
「自身が10数年やってきた水産加工で独立をするか?しかし何処で?」家業と同じような商売を地元ですることは
色んな意味で不可能に近かった。いったいどうすれば良いのか・・・
日に日に想いは強くなると同時に「モヤモヤ」も増していった。
しかし何か一歩踏み出さないと、事は前に進まない。若旦那は自分の想いを社長である親父にだけ告げることにした。
「近い将来独立がしたい」と・・・
返ってきた答えは「NO」だった。「せめて兄貴の息子が一人前になるまで待ってやってくれ」と。
最短でもあと10年・・・若旦那はこの社長の答えに心の中で「NO」と言ったのである。
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