お知らせ

2016.03.25

ブログ

若旦那劇場 第20話

ついに開通した山口と和歌山を結ぶドリームロード。
少しずつではありましたが、「山口県北浦の旨い魚」の加工が始まりました。
そしてそのドリームロードを使って新しい魚種の開拓や「未来」のための営業に
しばしば山口へと通ったのでありました。
そんなある日、若旦那が愛車で山口に出向いた帰り道、高速のトンネル内に入った時の事でした。
誰もいないはずの助手席にふと気配を感じたのです。誰かが助手席に座ったような。
思わず若旦那の口から「親父・・」とこぼれ落ちました。
そう紛れもなく助手席に親父の気配を感じたのでありました。
生前、独立宣言にストップをかけていたが、「その夢を叶えようと必死に頑張る若旦那の姿を見て、
ようやく独立の許しを出しに来てくれたか?」そう思いました。若旦那の目から涙が溢れでました。
若旦那はこの出来事を独立へのゴーサインと捉え、待ちに待った「引っ越し」を親父の命日である、
2度目の「3月11日」を待って飛び立とうと決意したのでありました。
ある穏やかな日曜日、全てを告白するため母親と兄貴のいる母屋へと出向きました。
そしてこの数年間の自身の考えやこれからの夢の話を熱く熱く語ったのであります。
もうこの時の若旦那の心には一点の曇りもなかった事でしょう・・
この熱い想いが功を通したのか誰一人反対する人もなく、この年の3月子供たちが春休みに入るのを待って
旅立つ事が決定したのでありました。
それからの数カ月は引っ越しの準備とお世話になった人への挨拶におわれる日々でありました。
そして時折、引っ越しの作業を進めながら和歌山県みなべ町での35年の人生を相棒と二人で振り返ったのでありました。
平成20年3月25日、若旦那一行は母親と兄貴家族、そして従業員さんに見送られみなべ町を後にしたのです。
まだ幼い子供たちには、ほんの少しだけ長い旅行にでも出かけるかのような、そんな気持ちだったのかもしれません。
いや、若旦那自身もそんな甘い考えだったのではないでしょうか・・・
かくして夢の舞台へと旅立った若旦那ですが、はたして想い描いたような人生になるのでしょうかね・・・
 
                                              お・わ・り

あとがき
和歌山県みなべ町に生を受けてからの35年を、98%の真実と2%のユーモアを交え、全20話にわたり
お届けしてきました「若旦那劇場」、長らくのご拝読有り難うございました。
生まれて初めての大きな夢に向かって走った30代前半でしたが、度重なるまさかの展開に本人が一番驚いているのではないでしょうか。
はたしてこの「想い」が正しかったのかどうかは、これからの若旦那の生き方次第といったところでありましょうかね・・・
ますます若旦那から目が離せなくなってきましたが、またいつか若旦那が一人前の社長になった頃お会い致しましょう。
それまでしばしのお別れです。それでは、さよなら、さよなら、さよなら・・・

2016.03.12

ブログ

若旦那劇場 第19話

いよいよ迎えた面談当日。夏も終わりに近づいた8月末。
しかしながらギラギラと照りつける太陽は、まさに若旦那の独立への想いと重なるようでありました。
身支度を済ませ、待ちに待った「大本命」との面談に向かうのでありますが、いよいよ開かれようとする
北浦街道への扉を前に、否が応でも胸は高鳴り そしてまた、その「想い」を受け入れてくれるかどうか不安でもありました。
しかしそこは一息、旅館の窓から見える山の緑と、そこに流れる川のせせらぎで心を落ち着かせました。
相棒と子供たちは面談の間、仙崎から出る観光遊覧船で仙崎湾を一周出来る事を聞き、しばらくの間
そこで過ごす事にしました。
若旦那は待ち合わせの場所であるロビーへと降りて行きましたが、チェックアウトの時間と重なりロビーは
結構な人で賑わっていました。そしてその人達のなかに「大本命の仲買人」を探しました。
ロビーのテーブルに座っている人を端の方から順に目でおっていくとその中に大谷山荘の社員さんらしい
服装をした人と談笑する一人の男性をみつけました。「この人か・・・」。
近づいてみるとその社員さんは昨夜お会いした方だったので、その隣にいる人がまぎれもなく「大本命の方」
であることを確信しました。
半袖シャツに綿パン、額こそ貫録を感じさせたが肌は艶々とし、まだまだやる気に満ち溢れた「素敵なおじさま」でありました。
若旦那はその「おじさま」に自身の想いを伝えました。30分程話したでありましょうか・・
おじさまは話しを聞き終わると、何ともあっさりと二つ返事で魚の買付を引き受けてくれたのでありました。
かくして初めて山口県北浦の地を踏みしめ、その海とあまりにも美しい景観に感動し、ホテルの夕食に
地魚料理ではなくフランス料理を食べてしまったあの日から1年数か月、とうとう北浦の旨い魚を仕入れ、加工
することが出来るようになったのでありました。
また、遊覧船で仙崎湾一周を終えた相棒から、仙崎の海の透き通る程の美しさを聞いた若旦那は
「やっぱりここで間違いない」と改めて思い直したのでありました。
「活動の拠点」と「仕入れの窓口」を手に入れた若旦那はこの日を境に、しばしば山口県に訪れ、魚の視察はもちろんのこと、
「近い将来」のためにと山口県内での販売先をみつけるため飛び込みの営業を行ったのでありました。
もちろんほとんどが門前払いではありましたがね・・・
しかし何時かうまくいく日がくる事を信じて・・・

2016.02.27

ブログ

若旦那劇場 第18話

ついにおとずれたビッグチャンスをものにするべく、若旦那一行は一路山口県長門市を目指しました。
そう、国語が得意な若旦那をもってしても読むことが出来なかった「長門(ながと)」をめざして。
今回のツアーの舞台になるであろう「大谷山荘」、その評判は「日本でも指折りの素敵な旅館」と
知人から聞いていました。しかし若旦那はいまひとつピンとこなかった。
幾度か降り立ったあの山口県北浦地方に、それも山荘というのだから山の中の旅館であろうが、
そんな所に日本でも指折りの旅館が・・・
そんな事を思いながらも車を西へ西へと進め、高速道路を下り 標識に「長門」の文字を見つけると
わき目もふらず車を走らせたのでありました。
高速を下りておよそ40分、車窓から見える景色は山また山の連続でしたが、短期間に何度も山口県に訪れ
「山口県北浦ツアー」のガイドでも出来る程になったと思い込んでいる若旦那には、決して珍しい光景ではありませんでした。
しかし次のカーブを曲がった瞬間、目の前に現れた建物に唖然とするのであります。
大都会に建つホテルとは違い、なんとも落ち着いた雰囲気でどっしりと構え、高級感を放ちながらも上品で
お客様を迎える入口に架かる小橋が風情を醸し出した、「日本人なら一度は泊ってみたい宿・若旦那百選」に
でてきそうな旅館が姿を現したのであります。そう、「大谷山荘」到着でありました。
若旦那はその玄関口に吸い込まれるように入って行きました。車を止めスーツ姿の男性と和服姿の女性に案内され
ロビーへと入って行ったのですが、天井は吹き抜け、広々としたロビーには水が流れ、瞬く間に非日常の世界へと
引き込まれて行くようでした。しかしふと子供たちに目を移したその瞬間、若旦那はハッと我にかえりました。
なんと次男坊は背中に虫取り網を突き刺し、肩から虫かごをぶら下げ、頭には麦わら帽という完全に場違いなスタイルだったのです。
しかしそんな事はお構いなしに、子供たちは目輝かせ今にも走り回らんとする勢いでした。
今回若旦那が大谷山荘を訪れた理由を、事前に若旦那の知人から伝え聞いていた女将はその夜、わざわざ部屋に出向いて
くれたのでありました。そして若旦那が「想い」を伝えると早速、従業員のなかに仲買人を知った人がいないか探してくれ
社員の一人に「友人が仙崎の仲買人」という人を見つるや、その夜のうちに翌日の「面談」まで取り付けてくれたのでありました。
その素早い対応、その心づかいに温かい「おもてなし」を感じたのでありました。
かくして若旦那が初めて山口県北浦の地を踏んでから1年数か月、ようやく「大本命」と会うことになり、
抑えても抑えきれない胸の高鳴りと、日本屈指の高級旅館の夕食を心ゆくまで堪能したのでありました。

FAX、メールご注文の際は、
お名前、住所、電話番号、商品名、個数をご明記ください。
FAXのご注文の場合は、
折り返しお電話確認をさせて頂きます。詳しくは、ショッピングガイドを御覧ください。