お知らせ

2016.02.14

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若旦那劇場 第17話

親父との突然の別れ、このことで自身の独立プロジェクトを進めるか、それともやはり兄弟でこの会社を
守っていくべきなのか、その選択に揺れる若旦那であったが、もしこの家業に身を委ね現役生活を終えた時
はたして「最高の人生だった」と満足できるであろうか・・・
もうこの時の若旦那には「満足できる」という答えは見つからなかった。こんな事を考えながらも若旦那はふと思った。
唯一「独立願望」を伝えたのは親父だけ、そしてその願望に「NO」と言った人も親父だけ。
その親父が他界した・・ひょっとしてこれはチャンスなのか・・
そう思うや若旦那は「プロジェクト」を加速させた。若旦那はスイッチの切り替えが得意だった。そして自己中心的な
性格も特技の一つであった。
しかしさすがにこの状況で「憧れの地」に行くことは出来なかったので、今度は「内部調整」を始めたのであります。
現場の中で工場長が担う仕事の役割は少なくなかったが、その使命を社員の一人にしっかりと伝授することを始めたのであります。
そう、いつ「その時」が来てもいいように・・・
内部調整を着々と進めていたある日、いつも山口県情報を下さる知人から一本の電話が入った。今回の「通達」はこの知人の知人が
長門の「大谷山荘」というホテルで働いていてこの方曰く、「長門かいわいの魚は仙崎に集められそこで競りが行われているとか。
そしてその仙崎の魚の評価はかなりなものである」と言うのだ。おまけに「同じ職場の人の中には仙崎の仲買人を知る人もいるのでは
ないだろうか」ときたのである。若旦那の心は躍った。ついに旨い魚が・・とうとう仕入れの窓口が見つかるかも・・・
しかし親父がいなくなって数カ月、私達兄弟の仕事の負担が増えた状況の中、新しい仕入先の開拓とはいえ
工場をあけることはさすがに気がひけた。しかしこのチャンスをミスミス逃すことは出来なかった。
若旦那はカレンダーをめくり8月・夏休みの最終の金・土・日に照準をあて「今度こそ旨い魚に会いたいねツアー」の計画をたてたのであります。
そしてこの知人からの通達を、快諾など得られない事を承知の上で兄貴に話し、半ば強引に
「今度こそ旨い魚に会いたいねツアー」へ家族5人で出かけたのでありました。

2016.02.07

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若旦那劇場 第16話

新たな人生の拠点にと「豊北御殿」の契約に挑み、とりあえずは仮契約を済ませ帰路につきながら
「本当にこれで良かったのか」といつになく弱気な一面を見せる若旦那だったが、ここまで来たら
前に進むしか道はなく「あとひと踏ん張り」と、ふんどしを締め直すのでありました。
小学生の頃、何度想像してみても、何度思い描いても20代で終わっていた人生のシナリオが、
まさかの「ブルガタ騒動」でスタートした30代。「生命」について深く考え、この世に生を受けた以上
自分の使命を全うしたいと、自分の力を信じ、時の流れに身をまかせ、とうとう見つけた新たな人生のスタート地点。
しかしそのホームベースを手にするための資金の融資を、山口県と地元和歌山の金融機関に打診するも
「まったく現実性のない話」と断られ、また肝心の魚の仕入れの窓口も未だ見つからない状況にいささか
不安を覚える若旦那でありました。
次から次へと押し寄せる波にのり、進めてきた「独立プロジェクト」も、足踏み状態を迎えたかのように思えた
そんな時、ある出来事が起きたのです。
それは唯一独立の意思を伝えた親父がこの世から旅立ったのです。それはあまりにも突然の出来事でした。
幼少の頃若旦那はお父ちゃん子で、容姿や頑固な性格も親父似でよく喧嘩になったことも。
そして何より同じ「ブルガタの同志」として生命について語り合うこともありました。そんな親父の死は
家族全員心にぽっかりと穴があき、しばらくは現実として受け入れられませんでした。
これまで会社の経営は親父一人が行っていたと言っても過言ではなく、突然その大黒柱をなくして経営を
任される事になった兄貴にしてみれば、その不安はそうとうなものに違いなかったでしょう。
そしてそれは若旦那にとって、このような状況のなか「自身の独立プロジェクトなどとても進められない」
という気持ちと、「しかし夢はそこまで来ているのに諦められない」という気持ちの葛藤の始まりでもあったのです・・・

2016.01.24

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若旦那劇場 第15話

いやはや知人からの「まさかの連絡」に、自らの独立の場を求めていたとはいえ
また、「地魚の刺身定食」で魚の旨さは分かっていたにしても、その旨い魚の姿形さえまだ見ぬ状況の中、
見知らぬ土地に家を求めるという行動は回りからすれば到底理解できないことであったことでしょう。
若旦那本人も今回の行動は「極秘の戦略」と感じ、誰にも気づかれないよう一人和歌山を後にするのです。
時折鳴る携帯電話のベルに後ろめたさを感じながら・・・
「独立への期待」と「極秘の戦略に対する罪悪感」とに揺れる若旦那であったが、三たび降り立った豊北の
自然溢れる癒しの波動に心を決め、いざ契約に挑むのですが、田舎とはいえおよそ600坪の土地とその中に建つ
「御殿」を買う貯えなど無論あるはずもなく、とりあえずは少ない手付金だけで仮契約をさせて頂いたのであります。
仮契約を済ませ帰路についた若旦那は、山陰線の田舎列車の窓から見える綺麗な海を眺めながら、それまでのわくわく感
とは裏腹に「本当にこれで良かったのか」という戸惑いと、和歌山を捨ててしまうような裏切りにも似た淋しい気持ちで
一人列車に揺られたのでありました。
近い将来この山口県北浦の地で、「自らが描く思い通りの物作り」など本当に出来るのかと、
いつになく弱気な一面を覗かせながら・・・

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