お知らせ

2016.02.27

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若旦那劇場 第18話

ついにおとずれたビッグチャンスをものにするべく、若旦那一行は一路山口県長門市を目指しました。
そう、国語が得意な若旦那をもってしても読むことが出来なかった「長門(ながと)」をめざして。
今回のツアーの舞台になるであろう「大谷山荘」、その評判は「日本でも指折りの素敵な旅館」と
知人から聞いていました。しかし若旦那はいまひとつピンとこなかった。
幾度か降り立ったあの山口県北浦地方に、それも山荘というのだから山の中の旅館であろうが、
そんな所に日本でも指折りの旅館が・・・
そんな事を思いながらも車を西へ西へと進め、高速道路を下り 標識に「長門」の文字を見つけると
わき目もふらず車を走らせたのでありました。
高速を下りておよそ40分、車窓から見える景色は山また山の連続でしたが、短期間に何度も山口県に訪れ
「山口県北浦ツアー」のガイドでも出来る程になったと思い込んでいる若旦那には、決して珍しい光景ではありませんでした。
しかし次のカーブを曲がった瞬間、目の前に現れた建物に唖然とするのであります。
大都会に建つホテルとは違い、なんとも落ち着いた雰囲気でどっしりと構え、高級感を放ちながらも上品で
お客様を迎える入口に架かる小橋が風情を醸し出した、「日本人なら一度は泊ってみたい宿・若旦那百選」に
でてきそうな旅館が姿を現したのであります。そう、「大谷山荘」到着でありました。
若旦那はその玄関口に吸い込まれるように入って行きました。車を止めスーツ姿の男性と和服姿の女性に案内され
ロビーへと入って行ったのですが、天井は吹き抜け、広々としたロビーには水が流れ、瞬く間に非日常の世界へと
引き込まれて行くようでした。しかしふと子供たちに目を移したその瞬間、若旦那はハッと我にかえりました。
なんと次男坊は背中に虫取り網を突き刺し、肩から虫かごをぶら下げ、頭には麦わら帽という完全に場違いなスタイルだったのです。
しかしそんな事はお構いなしに、子供たちは目輝かせ今にも走り回らんとする勢いでした。
今回若旦那が大谷山荘を訪れた理由を、事前に若旦那の知人から伝え聞いていた女将はその夜、わざわざ部屋に出向いて
くれたのでありました。そして若旦那が「想い」を伝えると早速、従業員のなかに仲買人を知った人がいないか探してくれ
社員の一人に「友人が仙崎の仲買人」という人を見つるや、その夜のうちに翌日の「面談」まで取り付けてくれたのでありました。
その素早い対応、その心づかいに温かい「おもてなし」を感じたのでありました。
かくして若旦那が初めて山口県北浦の地を踏んでから1年数か月、ようやく「大本命」と会うことになり、
抑えても抑えきれない胸の高鳴りと、日本屈指の高級旅館の夕食を心ゆくまで堪能したのでありました。

2016.02.14

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若旦那劇場 第17話

親父との突然の別れ、このことで自身の独立プロジェクトを進めるか、それともやはり兄弟でこの会社を
守っていくべきなのか、その選択に揺れる若旦那であったが、もしこの家業に身を委ね現役生活を終えた時
はたして「最高の人生だった」と満足できるであろうか・・・
もうこの時の若旦那には「満足できる」という答えは見つからなかった。こんな事を考えながらも若旦那はふと思った。
唯一「独立願望」を伝えたのは親父だけ、そしてその願望に「NO」と言った人も親父だけ。
その親父が他界した・・ひょっとしてこれはチャンスなのか・・
そう思うや若旦那は「プロジェクト」を加速させた。若旦那はスイッチの切り替えが得意だった。そして自己中心的な
性格も特技の一つであった。
しかしさすがにこの状況で「憧れの地」に行くことは出来なかったので、今度は「内部調整」を始めたのであります。
現場の中で工場長が担う仕事の役割は少なくなかったが、その使命を社員の一人にしっかりと伝授することを始めたのであります。
そう、いつ「その時」が来てもいいように・・・
内部調整を着々と進めていたある日、いつも山口県情報を下さる知人から一本の電話が入った。今回の「通達」はこの知人の知人が
長門の「大谷山荘」というホテルで働いていてこの方曰く、「長門かいわいの魚は仙崎に集められそこで競りが行われているとか。
そしてその仙崎の魚の評価はかなりなものである」と言うのだ。おまけに「同じ職場の人の中には仙崎の仲買人を知る人もいるのでは
ないだろうか」ときたのである。若旦那の心は躍った。ついに旨い魚が・・とうとう仕入れの窓口が見つかるかも・・・
しかし親父がいなくなって数カ月、私達兄弟の仕事の負担が増えた状況の中、新しい仕入先の開拓とはいえ
工場をあけることはさすがに気がひけた。しかしこのチャンスをミスミス逃すことは出来なかった。
若旦那はカレンダーをめくり8月・夏休みの最終の金・土・日に照準をあて「今度こそ旨い魚に会いたいねツアー」の計画をたてたのであります。
そしてこの知人からの通達を、快諾など得られない事を承知の上で兄貴に話し、半ば強引に
「今度こそ旨い魚に会いたいねツアー」へ家族5人で出かけたのでありました。

2016.02.07

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若旦那劇場 第16話

新たな人生の拠点にと「豊北御殿」の契約に挑み、とりあえずは仮契約を済ませ帰路につきながら
「本当にこれで良かったのか」といつになく弱気な一面を見せる若旦那だったが、ここまで来たら
前に進むしか道はなく「あとひと踏ん張り」と、ふんどしを締め直すのでありました。
小学生の頃、何度想像してみても、何度思い描いても20代で終わっていた人生のシナリオが、
まさかの「ブルガタ騒動」でスタートした30代。「生命」について深く考え、この世に生を受けた以上
自分の使命を全うしたいと、自分の力を信じ、時の流れに身をまかせ、とうとう見つけた新たな人生のスタート地点。
しかしそのホームベースを手にするための資金の融資を、山口県と地元和歌山の金融機関に打診するも
「まったく現実性のない話」と断られ、また肝心の魚の仕入れの窓口も未だ見つからない状況にいささか
不安を覚える若旦那でありました。
次から次へと押し寄せる波にのり、進めてきた「独立プロジェクト」も、足踏み状態を迎えたかのように思えた
そんな時、ある出来事が起きたのです。
それは唯一独立の意思を伝えた親父がこの世から旅立ったのです。それはあまりにも突然の出来事でした。
幼少の頃若旦那はお父ちゃん子で、容姿や頑固な性格も親父似でよく喧嘩になったことも。
そして何より同じ「ブルガタの同志」として生命について語り合うこともありました。そんな親父の死は
家族全員心にぽっかりと穴があき、しばらくは現実として受け入れられませんでした。
これまで会社の経営は親父一人が行っていたと言っても過言ではなく、突然その大黒柱をなくして経営を
任される事になった兄貴にしてみれば、その不安はそうとうなものに違いなかったでしょう。
そしてそれは若旦那にとって、このような状況のなか「自身の独立プロジェクトなどとても進められない」
という気持ちと、「しかし夢はそこまで来ているのに諦められない」という気持ちの葛藤の始まりでもあったのです・・・

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